以前、フィリピンでのシステム開発拠点の立ち上げに少し携わったことがありました。
タイトルにもある通り、現地のフィリピン人の給料が10万円だったり全体的な物価が日本に比べて安いという事や、環境・文化の違いもあり、何もかもが新鮮でした。
結局、僕が現場を去ってしばらくした後、そのフィリピン拠点は採算が取れずクローズしてしまったようですが。。。
関わっていた当時のことが妙に印象的だったので記事にしようと思います。
情報商材アフィリエイト事業のベンチャー企業にて
当時、情報商材のアフィリエイト事業を主軸にしていたベンチャー企業で、フリーランス(業務委託)として働いていました。
良くも悪くも、一般的な会社とは大きくズレた価値観や文化で面白かったのですが(この現場に居た時についてはまた別の記事で書こうと思います)色々と新規事業を形にするため、システムの開発部隊が必要だという話になりました。
ただ当時エンジニアが4人ほどで、全員アフィリエイト事業のシステム保守で一杯一杯な状況で、とても話が出ていた新規事業に取り掛かれる状況ではありませんでした。
そこで今後のために、
「人件費の安い海外にエンジニアのシステム開発・研究拠点を作ろう!」
という話になり、その海外の中でも、元々会社の社長に縁があるフィリピンが選ばれました。
英語が話せる若手と、会社のフィリピン人(社長の身内のようでした)の2人が、メインでそこの立ち上げを担当していたのですが僕も日本の現場のマネージャだったという事もあり、何度か視察のために出向いてました。
初めてフィリピンへ渡航してまず思った事
まさか自分がフィリピンへ渡航する日が来るとは思っていませんでしたが、マニラの空港に着いた時にまず感じたのが独特な臭いです。
なんというか、香水とか排ガスなど色々な臭いが混じったような、日本ではあまり嗅いだ事がないような臭いです。(例えが難しい)
そして常夏の国なので当たり前ですが、とても蒸し暑い。
ただ、移動は殆ど、会社のフィリピン人の車で移動だったので楽でした。
なお日本の東京と違って、フィリピンのマニラ首都圏は鉄道網が全然ないので(鉄道は少しあるけど少ない)車じゃないと移動はきついと思います。
一応、公共交通としてジープニーというミニバスのようなものはあるのですが、外国人には敷居が高いです。
マニラでのオフィスの準備
さて、拠点を立ち上げるという事でまずは事務所を借りる所からです。
フィリピンのマニラ首都圏にアラバンと呼ばれる都市があり、そこのSOHO的なオフィスを借りる事になりました。
勿論手続きは会社のフィリピン人が対応なので僕はただその流れを見てるだけでした(笑
多くて15人程度しか入らないであろうマンションの1室のようなオフィスでしたが賃料は月7万円程度だったようです。
しかし、ネットがとても遅い。
システム開発事業のオフィスとしては致命的です。
結局、併設しているホテルのラウンジのフリーWiFiで仕事をしていました(笑
日本では、首都圏のオフィスでネットが遅いというのは有り得ないのですが、フィリピンではよくある話のようです。
面接の時間に来ないフィリピン人
現地のフィリピン人採用には、
ネットの採用媒体(リクナビのようなもの)を使ったのですが、面接の約束の時間になっても来ません。
1時間とか平気で遅れてきます。
日本だったら、もう、その時点で不採用になりますよね。
しかしここはフィリピンなので、遅刻されようがちゃんと面接します。(遅刻の時点で弾いてたら、誰も採用できない)
というか来るだけでもマシで、何も連絡がないまま無断キャンセルというのもザラでした。
これぞカルチャーショックです。
フィリピン人の事務スタッフは月給3万円
人件費なのですが、高スキルの人でも現地基準で月15万円程度の給与でした。
なお中級スキルでは月10万円程度です。
日本では、エンジニアの年収は高スキルであれば、月50万円以上は普通にあるので、破格ですね。
(まあ日本も、エンジニアの平均年収が、ほかの先進国と比べたら低いのですが)
ちなみに、専門職ではない、事務スタッフは3万円程度の給与でした。
それぐらいがフィリピンでは普通、との事です。
ただフィリピンは経済成長しており、当時からすでに4年近く経っているので、特に専門職においては、多少平均所得は上がっているかもしれません。
英語が出来ない中でのコミュニケーション
ある程度、従業員が確保出来たあたりで、社員全員で飲み会があり、僕も参加する事になりました。
僕は英語が全然話せないので、果たして彼らとコミュニケーションが出来るか不安だったのですが、いざ飲み会へ参加して、勢いでどうにかなるものだと悟りました。
こういう事を書いて良いのか分かりませんが、国が違えど、男であればとりあえず下ネタを話せば場が盛り上がります(笑
そしてやはりというか、ジョインしてくれたフィリピン人は日本の文化が好きな人が多かったです。
エロも含めた漫画・アニメが好き、いわゆるオタク的な文化ですね。
まあそういう背景もあったからか、コミュニケーションはそんなに問題がありませんでした。(翻訳のためスマホ片手に、ですが(笑
なお仕事時のコミュニケーションですが、僕は役割的に、仕事で彼らに指示をする事は少なかったのですが、自分のカタコトと、日本語が多少話せるフィリピン人スタッフに協力してもらったり、チャットでやり取り(=翻訳機能が使える)するなど、いくらでも対策可能なんだと思いました。
まあその一方で、自分で英語話せたほうがスムーズで良いなとも思いました(笑
とにかく日本との雰囲気との違いに驚く
フィリピンを色々歩いていると、たとえば
- 便器の便座が取れてたり、水が詰まっている
- 道路はガタガタで車に乗ってるとよく揺れる(高速道路はそんなに問題ない)
- 大通りの排気ガスの臭いがすさまじい
- カジノはめっちゃ派手でスケールでかい
- レストランやバーのテラス席で飯食べてると、物乞いをしてくる子供が寄ってくる
などなど、まあ日本とは色々な面で違いがあって驚いたし、興味深かったです。
とても書ききれないので、他のフィリピンでのエピソードは、また別記事で書こうと思います。
日本人より貧乏でも楽しそうなフィリピン人
フィリピン人の月給が日本人より安いと書きましたが一方でどちらが楽しそう・幸せそうか?と聞かれると正直、フィリピン人の方が幸せそうに見えます。
前述の通り、彼らは無理に時間を合わせたり残業したりのような、自分を犠牲にしてまで仕事をするような感じではありませんでした。
彼らをマネジメントする上では、日本と勝手が違い大変かもしれませんが日本人のエンジニアは、激務やプロジェクトの構造の問題等で社畜に陥ったり、鬱病になったりする人も多いです。
なので、フィリピン人の働き方もほどよく見習うぐらいの方がストレスがなく働けるんじゃないかな、と思います。
オフショア開発を単なるコスト圧縮事業と考えてはいけない
フィリピンや他の東南アジアでのオフショア開発拠点を作るというのは、一見、人件費が安いので、システム製造のコストが削減されることに着目されがちですが、現実にはそう簡単ではありません。
初期費用もかかれば、前述のような、日本との文化やコミュニケーションの違いにより、業務を進めるのに、余計な手間が掛かってしまいます。
大型プロジェクトであれば話は別かもしれませんが、中規模以下であれば、日本で開発するのと比べて、対してコストが変わらないどころか、むしろ逆にコストが掛かりそうです。
海外の文化や視点を取り込みたいだとか、世界規模のサービスを展開したいので英語圏に拠点を作りたい、というような理由があるなら良いと思います。